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2021.03.05

HPVワクチンについて

みなさんこんにちは、看護師の野口です。今回も予防接種についてお話ししたいと思います。

最近、子宮頸がんワクチンのお問い合わせが多くなりました。公費対象の保護者の方から公費対象から外れた成人女性など、様々な方が接種に対して前向きに検討されているんだなあと感じます。

子宮頸がんって耳にしたことはあるけど、どんな病気なんだろう?自分は男子だから関係ないかな、そんな方のために少しお話しておきます。

子宮頸がんは子育て世代の女性の命を奪うことが多い癌で「マザーキラー」の異名を持つがんです。原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染であり、予防接種で予防できることが判っています。

約200種類あるHPVのうち、発がんに関わる15種類のウィルスは、性的接触によって感染し、男女問わず性交経験のある人の約8割が一生に一度は感染します。

ただし感染してもウィルスは2年ほどで自然に体外に排出されるのがほとんどです。ウィルスが排出されず数年から十数年にわたって持続的に感染した場合、一部が子宮頸がんに進行します。

HPVワクチンについては、接種後に出現する広範な疼痛、運動障害などの「多様な症状」が報告され、マスコミ報道もありました。この「多様な症状」について専門家の間で検討中でありますが、現在までにHPVワクチンが「多様な症状」の原因であるという因果関係を証明する科学的・疫学的根拠は示されておりません。積極的勧奨は一時的に控えられていますが、HPVワクチンが定期接種の対象であることは変わりなく、接種を希望する方は定期接種として接種を受けることが可能です。

ワクチン接種にあたっては、受けられる方や保護者の方がHPVワクチンの有効性と安全性を十分に理解し接種いただくようお願いします。子宮頸がんワクチンの公費接種対象者は小学校6年生から高校1年生の女子のみで接種期限は高校1年生時点の3/31となります。接種は合計3回、6ヶ月の間に接種する必要がありますので、接種スケジュールは早めに立てて、公費外にならないようご注意ください。(公費を外れた場合、自費での接種は可能です)

新しいニュースとしては、昨年末にHPV4価のガーダシルワクチンが肛門がん適応拡大するとともに、男性への接種が承認されました。(男性の接種は任意接種となります)

HPV感染は、女性特有の子宮頸がんや外陰がんだけでなく、肛門がんや陰茎がん、中咽頭がんなどの悪性腫瘍にも関与するとされています。男女ともに感染する尖圭コンジローマや尋常性疣贅などの良性の病変は、パートナーへの感染による発症が多く、再発率が高いとされています。男性もHPVワクチンを接種することは自身の感染予防やパートナーへの防衛につながると期待されています。

さらに、HPVワクチンに新しいワクチンが発売されました。これが待ちに待った「HPV9価ワクチン シルガード」です。シルガードに含まれる31.33.45.52.58型は子宮頸がんの88.2%をカバーするそうです。ただ、9価ワクチンの需要は世界的に増加しており、日本で供給が安定するのはまだ先になりそうです。今後は公費の検討もされていくと思いますが、現段階では任意接種となります。接種を希望される場合はお電話で一度お問い合わせください。

長い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。

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